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【第1部】 第20話 映画館①

last update Petsa ng paglalathala: 2025-07-06 18:01:26

 映画館のロビーでは、たくさんの人が行き交っていた。

 売店やチケット販売機の前には人々の列が見える。頭上に飾られた巨大スクリーンには映画の宣伝が流れていた。

 ヘンリーとアルバートは物珍しそうに辺りをキョロキョロと見渡している。

 龍も映画館の様子に少し戸惑っているようだった。普段こんなところに来ないだろうから、慣れていないのだ。

 仕方ない、ここは私が動くか。

 三人を待たせ、チケットを買いに行く。

 目的のチケットを手に入れた私は、三人を引き連れ上映場所へと向かった。

 指定の会場へ入ると、座席を探す。

 もう既に室内は薄暗く、スクリーンには映画のCMが流されていた。

 休日ということもあり、座席もまあまあ埋まっている。

 座席の番号を確認し、皆を席に座らせてから私も腰を落ち着ける。

 ここの映画館の椅子は結構座り心地がよく、私は気に入っていた。

 私の右隣には龍が座り、左にはヘンリー。そのまた左にはアルバート。

 四つの席を皆に示したら、勝手にこういう並びになってしまった。

 なんとなく予想はついていたけれど。

 今まで私は映画を一人でしか見たことがなかった……だからか、両隣に人がいることに落ち着かない。

 さっきからヘンリーは私のことをじっと見つめてくるし。と、私がそちらへ視線を向けると、ニコニコと微笑むヘンリーと目が合った。

「ヘンリー、私ばかり見るんじゃなくて、映画始まったら映画を見るんだよ」

「うん、わかってる。でも、今は流華でいいでしょ?」

 そう言って、ヘンリーは満面の笑みを向けながら私に集中してくる。

 そんなに間近で見続けられると、緊張するよ~。

 私が何気なくヘンリーの方へ顔を向けると、突然キスされた。

 柔らかな唇の感触に驚き、私は身を引く。

「ちょっ、何するの!」

 私は映画館ということを配慮して、囁き声で怒った。

 すると、嬉しそうな顔をしたヘンリーが私にそっと囁く。

「ここ暗いから、こういうことするのに便利だね」

 そういえば……と私はゆっくりと龍の様子を覗った。

 確かに、いつもなら劇怒りする龍とアルバートさえ、今の出来事に気づかず平然としている。

 暗闇効果おそるべし!

「だからって、ねえ」

 私が注意をしようとしたそのとき、辺りがさらに暗くなった。

「あ、始まるのかな」

 ヘンリーはウキウキとした表情で嬉しそうにつぶやき、前を向く。

「もうっ」

 私は仕方なく映画を見ることに集中した。

 しばらくして、映画もちょうど折り返し地点に差し掛かった頃。

 私の左肩に何かが触れた。

 頬に髪の毛が当たり、寝息のようなものも聞こえてくる。

 どうやらヘンリーが私の肩で眠ってしまったようだ。

 私の鼓動が早く脈を打ち始めた。

 なんだろう、この心地の良さは。心がふわふわして、気分が高揚する。

 また、この感覚。不思議だけれど、私はこの時がずっと続けばいいとさえ思ってしまった。

 本当に、この感情は私のものなのかな……?

 自分のことがわからない、最近こんなことばかりだ。

 すやすやと気持ちよさそうな寝息……。

 とりあえず、私はヘンリーを起こさずそっとしておくことにした。

 すると、しばらくして今度は右肩にも同じ感触を感じる。

 え……?

 私は驚き、すぐに顔をそちらへ向けた。

 息がかかりそうな程近くに、龍の顔がある。

 なんと、龍まで私の肩にもたれかかり眠っているではないか!

 なぜ、龍まで!?

 よほど疲れていたのだろうか。

 いつも頑張っている龍を起こすのは忍びなかったので、そのままそっとしておくことにする。

 そして……私は両側からがっちり固定された人形の如く、そのまま映画を見続けるしかなくなってしまった。

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Mga Comments (1)
goodnovel comment avatar
憮然野郎
表紙絵が変わってる...️素敵なイラストですね......
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